看護リフレクションの取り組みと書き方の仕方法

リフレクションのプロセスはフレームワークとして、構造化された知的な活動であると考えられています。

リフレクションのプロセスはいくつか開発されています。その1つにGibbsのリフテクティブ・サイクルがあります。このサイクルはStage1記述・描写(Description)、Stage2感情(Feeling)、Stage3評価(Evauation)、Stage4分析(Analysis)、Stage 5総合(Discription)、Stage6行動計画(Action Plan)によって構成されています。

リフテクティブ・サイクル

このサイクルの利点は、段階を追って学ぶことができること、しかし、必ずしも全ての段階を完成させる必要がないこと、何度もステージ1に戻ってよいことなどがあるとされています。

基礎看護学実習の記録における看護専門職としての思考に注目した研究 : リフレクティブサイクルを用いて

本研究では、リフレクションの概念に沿った記録用紙を採用し、学生の自己への振り返りがどのようになされているかについて明らかにした。その結果、<自己への気付き>として「状況の判断ができていない自分」や「相手の状況を考えずに発言してしまう自分」などがあり、看護専門職者としての価値観を形成する過程で重要であると考えられた。また、学生の実習における経験をリフレクティブジャーナルに記述することで、自己への振り返りが可能になり、それらがクリティカルシンキングのスキルであることから、リフレクティブジャーナルが記録用紙として効果的であることがわかった。
From our experiment, we have found how students look back upon themselves using records formed by the concept of reflection. As a result, many of them found themselves “unable to grasp the situation” or “speak without understanding the situation of others.” We think this is an important process for students to build the perspectives of nurses. We also found that a reflective journal can be used as a record, and students were able to look back upon themselves from writing their experiences of training. Because that is a skill of critical thinking, reflective journals can be used as records.
基礎看護学実習の記録における看護専門職としての思考に注目した研究より

Gibbsのリフレクティブ・サイクル

ibbsのリフレクテイプ・サイクル図解

Gibbsによるリフレクションのフレームワーク

Stage l 記述・描写(Description)

リフレクシ∃ンしたい内容を記述したり語る
「描写すべきこと」

  • その出来事はどこで起こったことか
  • 自分以外に誰がそこにいたか
  • 自分はなぜそこに居合わせ、何をしていたのか
  • そこに居合わせた人はそのときに何をしていたのか
  • その出来事の具体的な状況はどのようなものであり、そこで何が起こったか
  • その出来事の中で自分自身はどのような役割でそこに居合わせ、他の人の役割はどうだったのか
  • 結果的にどうなったのか

Stage 2 感情(Feeiing)

Stage 1で表面化せずに内面で起こっていたことを振り返る
「自分自身に問いかけてみること」

  • その出来事が起こったときに自分はどういう気持ちになり何を考えていたか
  • 何が自分をそのような気持ちや考えにさせたのか
  • 他者の言葉や行動が関係しているのだろうか
  • その出来事の成り行きによって、自分自身の感情がどうなったのか
  • 今はどのような気持ちや考えになっているのか

Stage 3 評価(Evauation)

何がよくて何がよくなかったのかを自分自身に問いかける
よしあしだけではなく、そこに起こった価値や重要性を考える

Stage 4 分析 (Ana:ysis)

取り上げた状況を要素に分解し、探求する
「状況から意図されること、わかることは何かを探る」

  • 何がよくなり自分が何を行うことでそうなったか
  • 状況をよくするために他者が何を行ったか。よくなかったときには何をするべきであったか
  • 自分や他者は何に貢献できたか
  • そもそもなぜ、このような状況が起こったか

Stage 5 総合 (Conclusion)

自分の判断をもとにStage 3とは違うものを見出す。
自己の成長や他者の行動がどう影響し、寄与しているかを探求する。探求を通し自分自身に何ができたのかを問う

Stage 6 行動計画(Action Plan)

ふたたび同じような状況に出会ったとき、どうするかを自分自身に問いかける
将来の行動を予測することで、一連のサイクルを終えるとともに、他の出来事の最初の段階に移行する

そこで、このサイクルを参考に、もう少し看護の臨床に即した簡便な方法として

  1. 患者の状態をもとに実践を記述する
  2. その出来事から看護の価値や意味を考える
    (1)どういう状況が起こっているのかを検討する
    (2)起こっている状況を分けて考える
  3. 物事をありのままに見る、思考を中断する
  4. 理論と現象を照合して考える、帰納と演繹の統合
  5. 看護師としての自分と向き合う

という、①帰納的に看護を振り返り、それを②演繹的に分析、解釈を行い、さらに③看護実践に含まれる価値や知を看護師間で共有するという方法を使った取り組みを紹介します。

ではリフレクティブな看護師として、看護実践を通して学びをつかみ取る力をつけるにはどうしたらいいのかを、具体的に次の事例を通して詳しく検討していきましょう。

事例研究的にリフレクションを学ぶ

「手術はできない」と説明を受けた患者の事例から

事例紹介
Aさんは60代の男性で、国腔内腫瘍で入院しました。今回の入院は再発によるものでしたが、医師から「手術はできない」との説明を受けていました。
Aさんは妻と長女と3人暮らしであり、長男は海外に出張中でした。Aさんは入退院を繰り返す中ではじめからセカンドオピニオンについて関心がありました。治療が思うように進まなかったことなどから医師への不満がみられました。しかし、一方で余計なことを言って医師に嫌われたくないとしう思いも強くありました。

患者の状態をもとに実践を記述する

今回取り上げた事例は、口腔内腫瘍で入院したAさん(男性・60代)がセカンドオピニオンを受けにいきたいという希望がありながら、なかなかセカンドオピニオンを聞きに行くことができずに、看護師はAさんの思いを聞きながら対応の難しさを実感していたという事例です。

Aさんは悩んだ末、セカンドオピニオンを聞きに行くことができましたが、南さんはAさんがなかなかセカンドオピニオンを聞きに行くことができなかったのはなぜか、また、「セカンドオピニオンを聞きに行く」と意思決定するまでの看護師のかかわりを明らかにしたいという目的を明確にしました

看護記録を想起して実践を記述する

今回の看護師は看護記録を読み返し、時系列にAさんの状態と言動が書かれている箇所を抜き出しました。その内容を研究グループのメンバーで
読み合わせ、看護記録に残っていないAさんの言動や看護師の思いを追加して記述していきました。

具体的には、「このときはどういうかかわりをしたのか」「どういう気持ちだったか」「なぜそれを行ったのか」「Aさんの反応はどのようなものであったのか」などの問いを看護師間で投げかけ、過去の実践を想起して記述しました。

このように、看護記録をもとに患者の状態に添って実践や看護師の思いをつけ加えていくと、記録には残っていない実践を豊かに描きだすことができます。

その際、〈患者の状況を先に記述すること〉とく行った看護行為に対する患者の反応〉をできるだけ詳しく記述すること〉の2点を重要と考えています。

ウィーデンバックは「〈援助へのニード(need br help)〉とは個人が求め望んでいる手段、あるいは行為であり、個人がそのときの状況にあ
ってもっている要求に対応できる能力を取り戻し、さらにそれを高めていくための力となりうるものである」と述べています。

これは、患者が意識している、していないにかかわらず、自分でニードを満たすことができなくなったときに、はじめて他者の援助を必要とするために、看護師はそのニーズがあるからこそ、それに気がつき、何らかの行為を行うということです。

まとめ

看護師は職業選択として看護師を選ぶときに医療や看護にかかわる何らかの体験をもっている人が多く、「病気の人に何かしてあげたい」とい
う気持ちが強い場合が多くあります。

「何かしてあげたい」という気持ちは大切ですが、この気持ちが邪魔をして、患者の状況を見極めることが意外と置き去りにされているのです。
専門職としての看護行為は看護師自身が「何かをしてあげたい」ということのみではなく、患者の状況の把握から「何が必要な援助なのか」を思考することから始まっていることを忘れてはならないのです。


この記事に使用している写真は「基礎看護学実習Ⅰ 開始 – 看護学部 看護学科ブログ」から引用しています。

 

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